もっとも基本的な姿勢はまっすぐに立ったときですが、前かがみになったりすると、重心線が移動し、腰への負担を大きくします。
体の重心線を正しくする
人がまっすぐ正面を見て立っているときには、からだの重心線は、頭の頂点→肩 ・肘 の前方→腰椎の後方→股関節 ・膝→足 のくるぶしのやや前方を通ります。このときの骨盤の傾き(骨盤傾斜角 )は、正常で約30度になります。この状態からおじぎをしていくと、重心線は当然、移動していきます。
たとえば、膝を伸ばした状態 で軽くおじぎをすると、腰椎の前弯は少なくなり、骨盤が傾斜します。このときの重心線は、腰椎の中ほど→股関節と膝関節の前方→かかとあたりを通ります。
さらに腰を深く曲げると、腰椎は後弯となり、骨盤はさらに大きく傾斜します。重心線は、腰椎の中ほどからかかとを通りますが、股関節はその重心線より後ろに位置するようになります。このように腰を山げた状態では、背筋やお尻の筋肉(大殿筋 )、ふとももの後ろの筋肉(ハムストリング )、腓腹筋を緊張させてバランスをとろうとします。
さらに深くおじぎをすれば、これらの筋の緊張はさらに大きくなります。やがて時間の経過とともに疲労し、その疲労が、腰に痛みを起こさせるようになります。
このように、腰椎には常に上半身の体重の負荷 がかかるだけではなく動作などによるストレスが絶えず加わり、腰痛を起こしやすい状態にあるといえます。
良い姿勢を心がける
ところで、筋肉の疲労はこのようなおじぎをするといった動作のほか、姿勢によっても起こります。
姿勢には、
@背すじがまっすぐな平背
A背中が丸くておなかが突き出た凹 円背
B背中が丸い円背
などがあります。
腰椎のうち、第5腰椎と呼んでいる部分は、もっとも腰痛を起こしやすい部分といえますが、これは第5腰椎がちょうど腰椎の前弯から仙骨の後弯に変化する位置に当たり、まっすぐに立 った状態であっても水平より約30度傾いているためです。これにより、第5腰椎はたえず前方にすべり落ちようとします。
もしも、腰椎の前弯が増強する凹円背や凹背などの悪い姿勢をとれば、この前方にすべり落ちようとする力がさらに大きくなり、この部位に障害をきたすようになります。
このように、姿勢が悪いと、この
カーブの弯曲が増大したり、あるいは小さくなって湾曲の異常をきたし、腰痛が起こります。背骨の正常な生理的弯曲は、背骨を支えている筋肉にとってもっとも疲れの少ない形なのです。したがって良い姿勢を心がけることが、腰痛予防の第一歩 になるのです